保険を利用して相続税対策を行なう方法
相続の相談における悩みのひとつとして、納税資金をどうやって準備をするかという問題があります。バブル期に比較すると土地の価格も落ち着いており、相続税の納税金額は少なくなってきているのに、相続における納税資金の準備の悩みがこれまでより大きいのはなぜでしょうか。
土地が値上がりしている時は、支払う相続税の金額は大きくなります。しかし、値上がりしている時期であれば、不動産を購入される方も沢山いますので、売却資金をすぐに準備する事が出来ました。
不動産が多い場合、金融資産と異なり、不動産は名義変更が必要ですし、すぐに換金できない為に、遺産分割や相続税の際に、納税資金の準備で困るのが現実です。
相続税の納税準備をどのような形で行えばよいのでしょうか。一つは、きちんと貯金を貯めていくという方法があります。しかし、納税金額が大きくなると、なかなか貯める事は難しいのが現実です。
そんな時に、上手く活用すると有効なのが生命保険です。その名のとおり、生命保険ですので、亡くなった時に保険金がおりてきますので、その保険金額を納税資金に充てれば良いわけです。
生命保険への加入の目的を明確にすること
生命保険は、相続税の前払いだと考えてみてください、一度に支払う事が出来ないので、今から毎月保険会社に相続税の前払いをしているということです。
貯金であれば、貯めた以上に戻ってくる事はありませんが、保険であれば、最初の数回支払っただけでも、死亡保険金がおりてくる事もありますので、自分にあった生命保険に加入することで相続対策になります。
ただし、保険の予定利率は昔と比較すると、金利水準が非常に低いですので、貯金よりも生命保険の方が良いという安易な考え方で加入するのではなく、いろいろな相続対策を考えた上で、生命保険の活用を検討してみてください。
生命保険と一口で言っても、終身保険、養老保険、定期保険、医療保険等、いろいろな種類の保険があります。同じ種類の保険であっても、タバコを吸うのか吸わないのかで、保険料が異なる保険会社もありますし、保険会社によって、保険料や細かい保障の内容が異なります。
まず、相続財産がいくらの評価で、相続税がいくら課税されて、現在準備できる納税資金はどれくらい用意できるのかといった現状をきっちり把握する必要があります。この評価をきっちりと行っていないと、無駄な保険に入ってしまうことになってしまいます。
生命保険については、どんな種類の保険に加入するのか、保険に加入するにあたっても、契約者を誰にするのか、被保険者を誰にするのか、死亡時受取人を誰にするのか、満期時受取人を誰にするのかによって、税金も異なりますので、判らない場合は専門家に相談して下さい。
納税に関しての準備の保険は、終身保険に加入すること
相続の相談において、生命保険の活用を考えた場合に、最初に確認すべき事は、生命保険で受け取ったお金には、非課税枠があるということです。亡くなった時に、生命保険金として受け取ることが必要になりますので、定期保険や養老保険では満期になって生命保険金と受け取ることが出来ないことになってしまいますので、基本は終身保険に加入することです。
被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。
この死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)である場合、全ての相続人が受け取った保険金の合計額が次の算式によって計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の対象となります。
500万円×法定相続人の数=非課税限度額
(相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はありません)
例えば、配偶者が亡くなられている父親と子供3人の事例で考えてみましょう。父親の相続財産を3億円としてみます。
生命保険に加入せずに、亡くなった場合は、
3億円-(3000万円+600万円×3人)=2億5200万円が課税遺産総額になります。
相続税を計算すると、3人合計で、5460万円になります。
生命保険の非課税枠は子供3人ですので、
500万円×3人=1500万円になります。
1500万円で生命保険に加入して、生命保険金として1500万円を受け取った場合と考えてみましょう。
(元気な方であれば、もっと少ない金額で1500万円の死亡保障に加入する事も出来ますが、今回は1500万円が預金から、そのまま死亡保険金に変わったとして計算してみます)
生命保険への加入1500万円必要になったので、
2億8500万円-(3000万円+600万円×2)=2億3700万円が課税遺産総額になります。
相続税を計算すると、3人合計で、5010万円になります。
1500万円の生命保険に加入すると、相続税の支払い額が450万円減る事になります。
(この場合、相続税の税率が30%ですので、1500万円の保険に加入すると1500万円×30%=450万円、相続税額は減る事になります)
つまり、財産の金額が大きく、税率が高いほど、生命保険の非課税の特例を受ける効果が高くなります。
他に生命保険の効果としては、死亡保険金は受取人固有の財産となります。預金のように相続が発生すると相続人全員のハンコがなければ、名義変更できない資産と異なり、死亡保険金受取人ご自身のハンコや書類だけで受け取る事が出来ますので、上手く活用を考えてみてください。
相続税の納税資金の準備のためには、終身保険を活用して下さい。高齢になった、病歴があるから生命保険に入る事が出来ないと思いこんでおられる方も多いかと思います。実際に調べてみると90歳くらいまで、病気になっていても加入できる保険会社もありますので、検討してみる事が大切です。
昔、郵便局で養老保険に入っていたが、満期になって受け取ったので、保険には加入していない方、生命保険には加入しているが、非課税枠の限度いっぱいまで加入できていない人は、生命保険を活用することも考えてみてください。
生命保険に加入したいが、どんな保険に、いくらくらい入れば良いのか判らない、生命保険に加入する事について不安がある方は、ご相談ください。
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