相続税申告・遺産分割が決まらなかったらどうなる?
相続税の申告期限は相続を開始してから10カ月以内になっています。
一般的に遺言書があれば遺言書のとおり、遺言書がなければ遺産分割協議を行って、だれがどの財産を相続するのかを決めた上で、10か月以内に相続税の申告・納税を行う必要があります。申告期限を過ぎて申告書を提出した場合には、無申告加算税がかかり相続税の負担が重くなります。
申告期限を過ぎてから申告した場合には、無申告加算税として納付すべき税額が5%アップになりますし、遅れると期限を過ぎてから完納するまでの日数に応じて延滞税を支払う事になりますので、相続手続きのスケジュールを理解して手続きを進めていくことが大切です。
遺産分割が10カ月以内にまとまらないと?
相続税の申告が必要な場合で遺産分割協議が10カ月以内にまとまらない場合には、本来自分のもらえる分の財産をもらったものとして相続税の計算を行って、各人が税金を納める事になります。
財産についての話し合いがつかない場合には、小規模宅地の特例や配偶者の税額軽減といった特例の適用を受けることができません。その後、話し合いが終わり、遺産が分割出来た時に書類(更正の請求)を提出する事により特例の適用を受けることが出来ます。
(ただし、申告期限後3年以内に分割された場合に限られますので、少しでも早く遺産分割協議をまとめることが大切です)
それでもまとまらない場合は?
相続人の間で考え方が違ったり、お互いに意地を張って感情的になり、遺産分割が長期化してしまう場合もあります。
長期化してしまうと、相続税の特例等を受ける事が出来なくなりますし、残された財産から生じる収入や税金の支払い等、数々のデメリットが発生します。
この場合には、家庭裁判所の「調停」や「審判」の手続きを利用することも検討してください。
調停手続きは、相続人が他の相続人を相手方として申し立てるものです。調停手続きでは、当事者双方から話を聞いたり、資料を提出して、事情を把握したうえで、双方の意向を確認して、調停委員が解決案を提示したり、助言をして、合意を目指す話し合いを行うことです。
それでも話し合いがまとまらず、調停が不成立になった場合には、審判手続きが開始され、裁判官が、残された財産などを審判することになります。
調停でも審判でもまとまらない場合は、裁判をおこすことになります。
相続の時に、遺産分割がまとまらない事でデメリットがあるのは残された相続人です。円満な相続を実現するために、相続対策を考え、生前に遺言書を作成するなど相続で揉めない方法をじっくり考えてください。
必ず手続きは完了させましょう
最初にもお話ししたとおり、相続財産が基礎控除以下の場合には相続税の申告の必要はありません。
しかし、相続は発生していますので、自分の名前にするためには、土地や建物、金融資産の名義等を行う必要があります。特に期限は定められていませんが、やはり、10カ月を目処に名義変更の手続きを終了しておきましょう。
一般的には不動産の名義変更は司法書士に依頼することになります。しかし、自分で名義変更の手続きをしたいという方は、法務局に相談窓口がありますので、基本的な知識があれば、相談しながらご自分で行うことも出来ます。
土地を売買する場合と異なり、相続による登記の場合は、申請書を提出する相続人は身内です。記載内容や添付書類が整わなかっても、何度でも訂正が可能ですから、自分で行うことも考えてみてください。
登記申請を司法書士に依頼すると、5万円から7万円程度かかるようです。自分で行えば、登録免許税(固定資産税×1000分の4)と、謄本や各種証明書の実費だけですので、時間とやる気のある方はにとってはメリットは大きいといえます。
自宅の土地が10年以上前に亡くなった祖父の名義のままである方や、亡くなったご主人の名前が無くなるのはさみしいと名義変更を行っていない方も結構おられます。しかし、売却や活用を行おうとした時に相続人が増えてしまい、手続きの費用と手間がかかることもありますので、ご注意ください。
相続税の申告期限に間に合わない、遺産分割協議が出来ないのは、相続についての知識が不足していたり、お互いに権利を主張して譲らない場合や、感情的になって相続人間での話し合いが十分出来ていない事が多いようです。場合によっては第三者に入っていただいて、円満な相続を実現してください。
手続きや流れについて、気になる事があれば、個別相談をご利用ください。
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