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未成年者が関わる場合の遺産分割協議の問題点

ご主人が43歳、奥さまが40歳、長男が13歳(中学一年生)、長女11歳(小学校5年生)のご家族で、ご主人が亡くなられたとします。

人が亡くなると相続が発生します。これは子供さんが未成年でも関係なく、配偶者である奥さま、お子様それぞれ法定相続分があります。配偶者がいて、子供さん二人のご家族ですので、法定相続分は奥さまが2分の1、お子様がそれぞれ4分の1です。

遺言書がなく、子供が成人している場合には、相続人の間で話し合いをして、誰がどの財産をもらうのかを決めれば良いのですが、未成年の場合、そういう訳にはいきません。

未成年者がいる場合、どのような手続きが必要か。

未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。と民法には記載されています。

 

未成年者が法律行為を行うには、法定代理人(親権者または未成年後見人。一般的には両親)の同意を得なければなりません。

これは、未成年者は、判断能力が備わっていないために、不利な契約を結んでしまわないように、保護されています。

普通、未成年者が何を行おうとした時には、親が法定代理人となるのですが、相続の場合には注意が必要です。

 

相続が発生して、相続人である奥さま、長男、長女の3人で話し合いをして、財産を分ける事になります。

この時、長男、長女の親である奥さまが法定代理人として、財産を分けると利益が相反する行為にあたります。(お母さんが、子供たちの取り分を減らして、自分が沢山もらうことも可能だからです)

親権者である母親が、その子との間でお互いに利益が相反する行為(今回のように相続財産を分ける)を行うには、子供のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。ということで、未成年者がいる場合の相続の場合、家庭裁判所へ特別代理人の選任という手続きを行わなければ、遺産を分ける事が出来ないのです。

特別代理人にはだれがなるのか

特別代理人には、祖父、祖母であったり、おじさん、おばさん(奥さまの兄弟姉妹)がなることが多いですが、状況によっては知人や弁護士さんなどの第三者がなる場合もあります。

 

奥さまと長男、長女は3人それぞれ利益が相反しますので、長男にはAさん、長女にはBさんとそれぞれ別の特別代理人を選任してもらって、遺産分割協議を行います。

遺産分割協議書には、奥さま、長男の特別代理人A、長女の特別代理人Bの3人が署名捺印して、遺産分割が完了する事になります。今回の事例では、長男の特別代理人Aさんにはお爺ちゃん、長女の代理人Bには奥さまの兄(おじさん)になっていただきました。

 

家庭裁判所への特別代理人申立ての手続き等、時間がかかりますので、相続人の中に未成年の方がおられた場合には、早いうちに手続きを準備する事が大切です。

 

申立てを行う時に必要な書類として、「遺産分割協議書の案」を提出しなければなりません。これは他の相続人が未成年者が損をするような分割協議をしないようにするためのものです。ですから、奥さまが全ての財産を相続して、長男、長女には何も渡さないというような案は、認められない可能性があります。(お子様の年齢や資産状況によって異なりますが)

 

特に残された相続人が奥さまと未成年者の場合、現時点での遺産分割だけを考えるのではなく、今後のライフプランを考えた上で分割方法を決める必要があります。後からしまったと思っても、遺産分割をやり直す事は出来ませんので、手続きの方法、遺産分割のやり方など、わからない事があれば、ご連絡下さい。

 

→未成年者が関わる遺産分割協議について詳しく知りたい方は個別相談をご利用ください

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