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贈与を行っても、直ぐに相続が発生すると損をするのか?

来年1月から相続税が大きく変わる事は、何度もお話しさせていただいています。基本的には基礎控除が小さくなり、相続税の税率も55%に引き上げられますので、増税になります。

 

ただし税制改正が全て増税方向へ動いたのではなく、減税につながる改正もいくつかあり、その一つが贈与税になります。今回の税制改正前であれば、誰に贈与を行っても同じ税率であったのが、二つに分かれました。直系卑属(自分の子どもや孫)に対する贈与と直系卑属以外の者に対する贈与で、贈与税の税率構造が異なり、納める贈与税の額が違ってきます。

税制改正による贈与税への影響!

110万円の贈与、子供や孫への贈与の場合は贈与税0円、その他の人への贈与の場合は贈与税0円(改正の影響なし)

200万円の贈与、子供や孫への贈与の場合は贈与税9万円、その他の人への贈与の場合は贈与税9万円(改正の影響なし)

300万円の贈与、子供や孫への贈与の場合は贈与税19万円、その他の人への贈与の場合は贈与税19万円(改正の影響なし)

500万円の贈与、子供や孫への贈与の場合は贈与税43万円、その他の人への贈与の場合は贈与税49万円(改正により△6万円)

 

資産を沢山所有されていて、相続税の税率の高い方は、基礎控除を超えると、相続税の税率が最低でも10%はかかりますので、子供や孫への贈与であれば、520万円の贈与で、52万円(負担率10%)の贈与を一つの目安として考えてみて下さい。

 

贈与を行う事で財産を親の世代から子供や孫の世代に移転させる事は、相続対策として非常に効果があります。

ただ、親が病気になったり、年老いて相続が発生する前にあわてて贈与をする事で節税出来る事にならないように、相続開始前3年以内の贈与については、相続開始前3年以内に贈与を行った場合には、贈与がなかったものとして、相続財産に加えて計算する事になっています。

相続開始前3年以内の贈与には注意!

相続などにより財産を取得した人が被相続人からその相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)に贈与を受けた財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与価額を加算します。

また、その加算された相続財産の価額に対応する贈与税の額は、加算された人の相続税の計算上控除されることになります。

加算される価額の基になる贈与財産の範囲と控除する贈与税額は次の通りです。

 

加算する贈与財産の範囲

被相続人から生前に贈与された財産のうち相続開始前3年以内に贈与されたものです。3年以内であれば贈与税がかかっていたかどうかに関係なく加算します

 

被相続人から相続人に生前に3年以内に贈与された財産でも、加算する必要のない贈与もあります。

贈与税の配偶者控除の特例を受けている又は受けようとする財産のうち、その配偶者控除額に相当する金額(結婚して20年以上経っていると、居住用不動産の贈与について2000万円までは相続税がかからない)

直系尊属から贈与を受けた住宅取得資金のうち、非課税の適用を受けた金額

直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち、非課税の適用を受けた金額

 

控除する贈与税額は、相続税の課税価格に加算された贈与財産に関わる贈与税の税額です。ただし、加算税、延滞税、利子税の額は含まれません。

贈与についても、相続対策の方針を決めることが重要!

良く間違えをされるのは、3年以内の持ち戻しについては、相続人に対する贈与について摘要されますので、お嫁さんやお孫さんなど相続人でない方に対する贈与については、この適用はありません

お客様の中には、3年以内の贈与は相続の際に再計算の必要があるので、高齢なので贈与を行ってもそれほど効果がないので行わないと言われる方もいます。亡くなった時を考えてみると、贈与を行ったとしても、その時に支払った贈与税は相続税の計算において、贈与税額控除で精算されます。基本的には贈与を行わなかった場合と同じになります。

 

相続はいつ発生するのか判りません。もしかすると、あと数年と思っている相続の発生は5年、10年先になるかもしれません。贈与については出来るだけ早い時期から考えておく事が大切です。

 

贈与の所でお話しさせていただいているように、近いうちに相続が発生する事を考えて贈与を行わないのではなく、お嫁さんやお孫さんなどを含めた相続人以外の方にも広く贈与を行う事を考えてみてください。

配偶者控除や住宅資金の贈与、教育資金の贈与については加算する必要がありませんので、こういった贈与を活用すべきかどうかについて検討してみる必要があります。

 

贈与においては、相続財産を整理して、相続税の納税額、税率等を把握した上で、誰にどのような贈与を行うのかを考えることが大切です。贈与について疑問があれば、ご相談ください。

→贈与の活用方法について詳しく知りたい方は個別相談をご利用ください

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