贈与税には配偶者控除がある事を知っていますか?
通常の贈与税では、1人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いた残りの額に対して贈与税がかかります。
したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。(この場合は、贈与税の申告を行う必要はありません)
しかし、それとは別に、結婚して20年たつと、2000万円贈与しても税金がかからないという話は聞いた事もあるのではないでしょうか。
これは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円の他に最高2000万円まで控除(配偶者控除)を受ける事が出来るという制度です。
つまり、夫婦の間で居住用不動産を贈与した年は、最高2110万円までは、贈与税がかからないということです。
相続税・贈与税は2015年から大幅に改正されます。贈与税は相続税と密接な関係があり、2015年からは税率は10%から55%の累進課税で、相続税と同じ税率構造になりますが、税率の刻みが相続税と異なり小さいので、一般的には相続税に比べて贈与税の方が、税率が高くなります。
ただし、贈与税は暦年課税ですので、毎年継続して行う事により、少ないリスクで相続対策として活用できます。さらに、同じ配偶者からは一回しか受ける事が出来ませんが、夫婦の間で居住用不動産を贈与した時には、配偶者控除を受ける事ができます。
特例を受けるための適用要件と手続き
特例を受けるための適用要件
結婚して婚姻期間が20年を過ぎたのちに、贈与が行われたこと
配偶者から贈与された財産が、自分の住むための国内の居住用不動産であること、または居住用不動産を取得するための金銭であること。
贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与によりもらったマイホームまたは贈与を受けたお金で購入したマイホームに、現実に住んでおり、その後も引き続き住む予定であること。
適用を受けるための手続き
財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本
財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以降に作成された戸籍の附票の写し
居住用不動産の登記事項証明書
その居住用不動産に住んだ日以後に作成された住民票の写し
不動産の贈与を受けた場合は、居住用不動産を評価するための書類(固定資産評価証明)
金銭の贈与を受けた場合の財産の額は、その贈与を受けた金額になります。居住用不動産をもらった場合の評価方法は、相続の場合と同じく、土地については、路線価方式か倍率方式により計算し、建物については、固定資産税評価額を1.0倍した評価額となります。
贈与税は0円ですが、不動産取得税・登録免許税がかかります
結婚して20年を過ぎたご夫婦の場合、2000万円の贈与をしても贈与税がかかりませんので、この2000万円の配偶者控除を効率よく使うことが、相続対策の一つのポイントになります。
ちなみに2110万円を贈与した場合の贈与税(2015年以降の税制)を計算すると
2110万円-110万円=2000万円
2000万円の時の税率は、50%、控除額が250万円、
2000万円×50%-250万円=750万円になります。
居住用財産を配偶者に贈与する場合、通常であれば750万円の贈与税が0円になるということです。
ただし、この配偶者の控除を受けることで、本来必要である贈与税がかからないという事になりますが、配偶者が不動産を取得しますので、不動産取得税、登録免許税が必要になります。
例えば、評価額が2000万円の物件の贈与を受けた場合
土地や建物等の不動産を取得した場合には、不動産取得税を支払わなければなりません。
課税標準×3%になりますので
土地だけを贈与した場合(現行)
2000万円×1/2×3%=30万円
※宅地の課税標準は、固定資産税評価額の1/2
また、不動産を取得した時に登録免許税を支払わなければなりません。
課税標準×2.0%になりますので
2000万円×2%=40万円
と贈与税はかかりませんが、70万円の税金と、司法書士等への名義変更の諸費用がかかります。
相続の場合は、
不動産取得税は非課税ですし、登録免許税も相続による移転登記の場合は、0.4%ですので、8万円で済みます。
つまり、所有している財産の金額が大きく、税率が高い人については、この配偶者の税額軽減を活用する事は大きな意味があります。しかし、ほとんど税金がかからない、小規模宅地の特例や毎年贈与を活用する事によって、相続対策が可能な方にとっては、この配偶者の特例を活用せず、別の相続対策を行う方が、メリットが大きい場合があります。
ですので、結婚して20年以上たっている場合、単純に配偶者控除を活用するのではなく、本当に自分にとって最善の方法を検討したうえで、活用して下さい。
相続税額がいくらになるのか、暦年贈与や生命保険等を活用した相続対策だけでは対応できないのかを検討したうえで、活用するかどうかを決める事が大切です。トータル的な観点から相続設計を考える必要がありますので、贈与の活用の仕方でわかならい事があれば、ご相談ください。
→贈与税の配偶者控除について詳しく知りたい方は個別相談をご利用ください
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