相続対策としてマンション・アパートの建築を勧められているけど、どうすればいいの?
最近の新聞広告を見ると、相続税の改正が行われるので、相続対策としてアパート・マンションを建築しましょう。「家賃保証しますので、建てた後も安心ですよ。」といった広告がよく眼につきます。
アパート・マンションは、相続対策として有効なのかを考えてえてみましょう。
相続税における財産の評価の計算方法を理解すると、アパート・マンション建築による評価の引き下げの効果は非常に大きいと言えます。
アパート・マンション等を建築すると、何故相続対策になるのかを考えてみましょう。
相続のときの評価はどうなるの。
評価のところでお話ししたように、路線価等で求められる不動産の価格は、自用地(土地の上に建物が何も建っていない、つまり権利関係がない土地)の評価額です。
例えば400㎡、前面路線価20万円の土地があったとします。
400㎡×20万円=8,000万円万円の財産です。
この土地の上に、建築金額 6,000万円のアパート・マンションを建築したとします。
土地は、貸家建付け地として評価され、評価額は
自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)になります。
8,000万円×(1-0.6×0.3×1.0)=6,560万円
建物の評価額は、固定資産税評価額×借家権割合になります。
一般的に固定資産税の価額は、建築費用の6割程度ですので、建築したアパート・マンションの評価額を計算すると
6,000万円×(0.6×0.7)=2,520万円になります。
建築費用 6,000万円全額借り入れをしてアパート・マンションを建築すると、
6,560万円+2,520万円-6,000万円=3,080万円の評価額になります。
何も建てていない土地であれば8,000万円の評価であった財産の評価額がアパート・マンションを建築する事により3,080万円になります。(評価が4,920万円下がります)
土地が貸家建付地、建物が借家評価になることで、評価を大きく引き下げる効果がある事は理解しておいてください。
詳しい計算方法については「借金をしても相続税は減りません!」のページにところに、載せていますのでご確認ください
相続財産の評価額を下げるという意味では、アパート・マンションの建築は非常に効果の高いことがわかります。計算式をよく見るとわかると思いますが、建築費用が大きいアパート・マンションを建てた方が、相続税財産評価の引下げ効果は大きいと言えます。
アパート・マンション経営は長期にわたる事業です。
ただ、考えていただきたいのは、相続の時の評価が下がるということは、計算上間違いありません。しかし、アパート・マンションを建てる前に考えていただきたいことがあります。
それは、実際にアパート・マンション経営を始めた時に、当初の事業計画書のとおりに、家賃が入ってくるのか、空室が埋まるのか?ということです。一般的にアパート・マンションを建築すると、建物の構造によって異なりますが、25年から30年以上賃貸事業を経営する事になります。
一度賃貸経営を始めると、最初に大きな金額を投資していますので、すぐに止めることが出来ません。長期間にわたって経営していく中で起こるリスクについても考えなければなりません。
ここで、アパート・マンション経営についてのメリット・デメリットを簡単に整理してみると。
アパート・マンションの経営のメリット
・長期的な安定収入を得る事ができる
・手間、人件費等の費用をあまりかけずに運用できる
・不動産を残すことができる(資産が目減りしない)
・相続税や所得税等、各種の節税効果を得る事ができる
アパート・マンション経営のデメリット・リスク面から考えてみましょう
・土地の立地条件、投資規模、建築費用の初期投資におけるリスク
・賃料低下や入居率低下、金利の上昇等の資金返済上のリスク
・借地借家法や税制改正等、制度的リスク
・空室の上昇、賃料の値下がり、賃貸需要の変化等、マーケットリスク
・建物の耐久性、老朽化に伴う費用等、物理的・機能的リスク
・賃料の不払い、入居者の破産、倒産等、無断転貸等、法的リスク
・売却不能、用途変更、物納財産として、流動性低下リスク
アパート、マンションの建築は、事業を始めるには大きなお金が必要になります。事業のスパンが長期にわたりますので、途中で売却した場合には、アパート・マンションを建築していな方が良かったということも実際にあります。
賃貸事業については、立地、事業コンセプト、事業規模等、最初の計画が非常に重要です。同じ不動産はありませんので、自分で賃貸事業計画について自信を持って行いたいと思える賃貸事業を目指して下さい。
立地条件を考えて、建築費用を抑えて事業の計画性の高いアパート・マンションを建てるのであれば、良いのですが、こちらは素人ですので、本当に自分にとって、その場所で、その規模のアパート・マンションを建築すること、事業計画が最後まで実現可能か考えることは難しいといえます。最初の事業計画を銀行、建築、不動産業者任せにしていると、困るのは自分です。自分で判断できないようであれば、中立的な立場で判断できる専門家に相談して下さい。
アパート・マンションの建築は自分で会社を興して経営を始めるというのと同じ気持ちで考えてみる事が必要です。アパート・マンションの建築する中で疑問や不安に思う事があれば、ご相談ください。
→アパート・マンションの建築について詳しく知りたい方は個別相談をご利用ください
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