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ご主人が高齢で、奥さまが認知症の場合の相続の注意点

将来65歳以上の4人に1人が認知症とその予備軍となると言われています。認知症は他人事ではありません。

ご主人が高齢で相続について考えているが、奥さまが認知症というご夫婦の子供さんからご相談がありました。

「母親は数年前から認知症になってしまったが、今も体は元気ですので、たぶんお父さんより長生きすると思う。」どうすれば良いのかとのご相談でした。

 

相続対策を考えているご本人が、認知症などで後見制度を活用すると、アパート・マンションの建築や生命保険への加入、贈与、遺言書の作成等、相続対策が出来なくなる事はご理解いただけたかと思います。

 

今回は、ご主人が認知症ではありませんので、相続対策を行う事は全く問題がありません。では、何処に注意をしなければならないのでしょうか。

ご主人が亡くなった時のことを考えてみる

ご主人が亡くなった時に相続人になるのは、配偶者である奥さまと、子供さんお二人です。(このご夫婦には、長女、長男の二人のお子様がおられます)

 

相続が発生すると、相続人の間で話し合いを行って、財産を誰の名前にするのかを決める事になります。(遺産分割協議と言います)今回は、奥さまと長女、長男の3名が相続人になります。

 

子供さんは、二人とも仲が良く、財産についてもめる事はありません。何に注意をしなければならないのでしょうか。

 

最初にお話ししたとおり、奥さまは認知症で意思能力がありません。3人で話し合いをして遺産分割協議を行うためには、お母さんが認知症ですので、成年後見制度を利用して、成年後見人を選任する必要があります。成年後見人を選任するまでには、4か月程度かかりますし、今回は長女、長男の親族が後見人として遺産分割協議に参加することが出来ません。なぜかというと、今回のご主人の相続の遺産分割協議については、奥さま、長女、長男の三人が当事者であり、利害関係があるため、家庭裁判所に「特別代理人」専任の申立てを行う必要があります。

 

また、家庭裁判所は、意思能力が失われている相続人が不利益になってしまう内容の遺産分割協議を行う事は認めていませんので、財産の半分は、認知症の奥さまの名義になります。(あくまでも、後見制度は意思能力が失われている人の権利を守りますので、法定相続分は奥さまが相続する事になります)

 

奥さまが相続した財産については、後見人が管理・監督を行いますので、基本的には生活費以外のために支出をする事が出来ません。(アパート・マンションを建築したり、生命保険に加入、贈与等が出来なくなります。)こういった事態を防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか。

お父さんが元気なうちに遺言書を作成する

今回の事例では、奥さまは認知症ですが、ご主人は高齢ではありますが、しっかりされています。ご家族皆さん全員、仲が良いのですから、ご主人が元気な時に遺言書を作成すれば、ご主人の思いのまま財産を残す事が出来ます。例えば、「相続財産は、長男、長女に半分ずつ残す。ただ、高齢のお母さんをこの残した財産でしっかり看病するように」という遺言書を作成しておれば、遺言書のとおり財産が、子供2人に残り、その財産でお母さんの事をきっちり見てあげて、余裕があれば、相続対策を具体的に実行することも可能です。

 

ただし、相続される財産の額や相続税の事を考えると、遺言書の内容を少し変更して、お母さんに財産を残す方が、相続税も安くなり、円満な相続につながる事もありますので、勝手に判断せずに相続に強い専門家に相談してみて下さい。

 

何度も言いますように、お父さんが元気な間でないと遺言書を作成する事が出来ません。万が一、遺言書を作成しないで亡くなって、遺産分割協議を行う時の事も考えて、早いうちに遺言書の作成等、相続対策を考えて下さい。

 

→ご家族が認知症の場合の注意点を詳しく知りたい方は個別相談をご利用ください

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