空き室を所有していると、固定資産税が数倍に…
昨年11月19日に、「空室等対策の推進に関する特別措置法」が可決され、法の施行期日は、平成27年2月26日からに決まりました。
適切な管理が行われていない空室等が、防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしている事で、国及び地方公共団体は、市町村が行う空室等対策の円滑な実施のために、空家への立ち入り調査を行ったり、指導、勧告、命令、行政代執行の措置がとれるように定めたり、必要な税制上の措置を講じることができます。
その中で、必要な措置の勧告の対象となった特定空室等に係る土地について、住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例から除外する措置が設けられることになりました。(平成27年税制改正大綱)
今回はこの特別措置法で、固定資産税、都市計画税が、どれくらい変わるのかを見てみましょう。
固定資産税、都市計画税が何倍になるのか!
住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置の概要を整理すると
固定資産税の課税標準
小規模住宅宅地(200㎡以下の部分) 6分の1に軽減
一般住宅用地(200㎡を超える部分) 3分の1に軽減
都市計画税の課税標準
小規模住宅宅地(200㎡以下の部分) 3分の1に軽減
一般住宅用地(200㎡を超える部分) 3分の2に軽減
となります。
例えば課税標準が3000万円で200㎡の土地がある場合
固定資産税
3000万円×1/6=500万円が課税標準
都市計画税
3000万円×1/3=1000万円が課税標準
課税標準が6000万円で400㎡の土地がある場合
固定資産税
3000万円×1/6+3000万円×1/3=1500万円
都市計画税
3000万円×1/3+3000万円×2/3=2000万円
特定空家に指定されると、特例措置を受けることが出来ませんので、課税標準の3000万円、6000万円に固定資産税、都市計画税の税率を掛ける事になります。
ということで、200㎡以下の小規模住宅用地の特例を受けていた方が、特定空室等に指定され、課税標準の特例措置が使えない場合は、固定資産税が6倍、都市計画税が3倍になってしまいます。
実際に支払う固定資産税を計算してみると、
固定資産税の標準税率1.4%、都市計画税の税率0.3%で計算すると
200㎡(課税標準3000万円)の土地を所有している場合
500万円×0.014+1000万円×0.003=10万円が
3000万円×0.014+3000万円×0.003=51万円
41万円の負担増(5.1倍)
400㎡(課税標準6000万円)の土地を所有している場合
1500万円×0.014+2000万円×0.003=27万円が
6000万円×0.014+6000万円×0.003=102万円
75万円の負担増(3.78倍)
と、4倍から5倍近く大幅に税金の負担が増えてしまいます。
将来を考えて、早期の相続対策が重要!
現在は建物が古くなって誰も住んでいなくても、建物が建っている状態であれば、固定資産税等の金額が安くなっています。建物を潰してしまうと、土地の固定資産税・都市計画税の税額が上がってしまう為、古い家屋を取り壊していない住宅が沢山見かけられます。防災、衛生、景観等の関係から、この特別措置法が可決されました。
空室等の定義
建築物またはこれに付属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが状態であるもの及びその敷地。
特定空家の定義
そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他の周辺生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空室等という。
具体的にどこで線引きをするのかについては、決まっていませんので、この辺りについては、今後の動きについては注意が必要です。
世の中の大きな流れとして、誰も住んでいない古い家屋については、固定資産税が上がる可能性が高いということです。
一斉に取り壊しを行うことは無いにしても、固定資産税の負担が増えると、所有者の負担も増えますので、昔から持っていた古いアパートやマンションを取り壊して売却する方が増えてくるかも知れません。空き家ということは、固定資産税を経費にすることが出来ませんので、実際に所得税や住民税等の税金を支払ったお金から、大幅に増加した固定資産税を払うことは、大変ですね。
空き室が多い場合はどうすれば良いの?
地価の動向を考えると、将来、古い建物が建っている土地の固定資産税が増える事になりますので、その土地だけについて考えるのではなく、相続として土地を誰がどの様な形で残していくのかについて、話し合いを行って、有効活用や売却等の活用方法を検討する必要があります。
不動産は、需要と供給の関係で価格が決まります。空き家が取り壊され固定資産税の負担が高くなると、保有しているコストもかかりますので、売却を考える方も増えるかと思います。土地の立地状況によって異なりますが、固定資産税が増えるという事は、売却を考える方が増え、売却する物件数が増えれば、地価は下がる可能性が高いと言えます。
固定資産税の軽減措置が無くなって、あわてて対策を考えるのではなく、現時点で方針を決めて動く事が大切です。
例えば共有で空き家を所有していて、なかなか話し合いがつかずそのままになっているケースも良く相談を受けます。長い期間住んだり貸したりしていない場合、将来、固定資産税の軽減措置がなくなると、更にまとまりにくくなりますね。
まだ、具体的に何時から実施されるのか、どのような空き家が対象になるかが明確になっていませんが、今後空き家の固定資産税が引き上げになる事は決まっていますので、将来の土地動向を考えた場合、その対策を今から考えていく必要があります。
その為には、相続財産の把握、相続税額を理解して対策を打つ必要が、あります。先手必勝、相続が発生する前対策を打つ事が重要です。
住んでいない借家やアパート、マンションを所有して、どうして良いか判らない場合は、こちらへご相談ください。
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