借地権の相続、評価方法・手続きはどうすれば良いのか?
建物は自分で建てたが、土地は他人に賃料を支払って借りている場合があります。借地権とは、借地借家法上の概念で、建物の所有を目的とする地上権または土地賃借件のことをいいます。(借地借家法2条1号)
土地と建物を所有していると固定資産税は、土地、建物それぞれにかかりますが、借地権の土地の上に建物を所有している場合には、建物の固定資産税のみを納める事になります。
自分で建てた建物が登記されていて、その建っている土地の不動産登記簿謄本の所有者が他人の場合には、借地権について考えてみる必要があります。
借地権についても相続税や贈与税の課税対象になります。
借地権には、次のとおり、5種類の借地権が存在します。
(1)借地権(旧借地法、借地借家法第3条)
(2)定期借地権(借地借家法第22条)
(3)事業用定期借地権等(借地借家法第23条)
(4)建物譲渡特約付借地権(借地借家法第24条)
(5)一時使用目的の借地権(借地借家法第25条)
(2)~(4)は、定期借地権等といいます。今回は(1)借地権について、整理をしてみる事にします。
借地権の評価
借地権の価額は、借地権の目的となっている宅地が権利の付着していない、自用地(他人の権利の目的となっていない場合の土地で、いわゆる更地をいいます)としての価額に借地権割合を乗じて求めます。この借地権割合は、借地事情が似ている地域ごとに定めらえており、路線価図や評価倍率表に表示されています。
借地権割合:借地事情が似ている地域ごとに30%~90%が決められています。
借地権割合は、一般的に土地の価格が高くなるほど高く設定されています。標準的な住宅地に比較して、駅前等の借地権は高くなっています。路線価方式の地域については、路線価図にアルファベットで表示されています。
記号:借地権割合
A:90%
B:80%
C:70%
D:60%
E:50%
F:40%
G:30%
例えば自分の家の前の道路の路線価が、180Dという価格がついていたとします。(道路に面した標準的な土地の場合)
土地の面積が150㎡とすると、借地権割合は記号Dですので、60%になります。
150㎡×180千円×60%=16,200千円
借地権の価格は、1,620万円になります。
相続発生の際には、不動産の評価額は借地権1,620万円として計算をして、他の財産を含めて基礎控除以下であれば、相続税の申告の必要はありません。
ただし、この借地権の価格は、相続の財産評価の金額になりますので、実際に借地権を買い取ってもらう場合や、第三者に売買する場合は、それぞれの事情によって異なりますので、注意が必要です。
借地権の相続手続きについて、考えてみましょう。
例えば、お父さんとお母さんが住んでいた建物が借地であった場合で考えてみましょう。
お父さんが亡くなった時に、残されたお母さんが借地権を相続する事が出来ます。第三者への譲渡の場合、必ず地主の承諾が必要になるのですが、相続の場合は、特に必要ありません。「相続によって建物の名義を変更しましたので、土地の賃借権も相続しました」と地主への通知だけで終わります。(基本的には、従前の契約内容を相続によって引き継ぐ形になります)
法律的には、相続登記を行って、建物の名義をお母さん名義にしておきます。手続きについては、一般の不動産と同じように、遺言書がなければ、相続人間で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成して、それをもとに、建物の相続登記を行う事になります。
経験上、借地の場合は、建物の相続登記を行っていない場合も多くあります。相続が発生した時には、相続人間で話し合いをして、相続登記を必ず行っておくようにしてください。
両親や祖父母が所有している土地の上に、子供が家を建てて住む事も良くあります。このようなケースで地代などの支払いがない、つまりタダで使っている場合は、「使用貸借」といい、税務上は借地権がないものとしてみなされます。
このように、亡くなった被相続人の土地の上に、子供や孫の建物が建っていた場合は、借地権として評価するのではなく、被相続人の土地は更地(自用地)としての評価となります。
借地権も大事な財産です。きちっと登記を行っておかないと将来あわてる事につながりますので、借地権の相続、評価、手続きについても理解をしておいてください。
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